歯も年齢とともに少しずつ弱っていきます。
年齢を重ねるごとに失うリスクが高くなることから、歯の健康が気になってくる方も多いでしょう。
今回は、歯の平均寿命や年齢ごとに歯が何本失われていくのか、また、どうすれば長く健康な歯を維持できるのかについて解説します。
目次
■歯の寿命とは?
◎歯そのものは一生ものではない
人間の歯はサメの歯などと違い、一度生えたら再び自然に生え変わることはありません。
むし歯や歯周病、破折などによって抜歯になるケースも多く、適切なケアがなければ歯の寿命は短くなってしまいます。
◎平均寿命との比較
日本人の平均寿命はおよそ85歳前後ですが、実は歯の平均寿命はこれよりも短いとされています。
厚生労働省の調査によると、日本人の歯の寿命はおおよそ50年~60年程度。
歯を長持ちさせるためには、長期的なメンテナンスが必要不可欠となります。
■年齢別にみる歯の残存本数
◎20代~40代前半
この世代では、基本的に歯を失うことは少なく、親知らず以外の永久歯は28本残っている人が多いです。
ただし、むし歯治療や過去の外傷などで歯を失っているケースもあります。
◎45歳~54歳
このあたりから歯周病のリスクが高まり、歯の喪失が始まる人が出てきます。
厚生労働省のデータでは、40代の平均残存歯数は26.4本前後とされており、すでに1.4本ほど失っている計算になります。
◎55歳~64歳
仕事や家庭で多忙になる時期でもあり、歯科受診の優先度が下がる人も多くなります。
この頃から歯周病が進行しやすくなり、平均残存歯数は23.4本程度まで減少します。
◎65歳~74歳
加齢に伴い歯肉の退縮が進み、歯の根が露出するなど、むし歯や歯周病のリスクがさらに高まります。
平均残存歯数は22本程度に落ち込みます。
◎70代以降
70代になると、入れ歯やインプラントなどの補綴治療を行う人も増えてきます。
喪失歯数は11.2本で、平均残存歯数は16.8本となり、すべての歯を自分の歯で維持している人は少数派になることも。
■歯が寿命を迎える主な原因とは?
◎歯周病
歯周病は、歯を支える骨や歯肉が炎症を引き起こす病気です。
初期段階では自覚症状がほとんどないため、知らないうちに進行してしまうことが多くあります。
歯周病が悪化すると歯がぐらつき、最終的には自然に抜けてしまうケースもあるため、歯の喪失二大原因の一つとされています。
◎むし歯
むし歯菌が生成する酸によって、まずは歯の表面にあるエナメル質が溶け、やがて内部の象牙質や神経にまで進行すると、激しい痛みや感染を引き起こします。
進行が著しい場合は抜歯が必要になることもあり、歯の寿命を縮める大きな原因の一つです。
特に歯と歯の間や歯の根元にできたむし歯は気づきにくく、発見が遅れると重症化しやすくなります。
◎歯の破折
硬いものを噛んだり、転倒や事故などで強い衝撃が加わったりすると、歯が折れてしまうことがあります。
破折の程度によっては、修復が難しく抜歯に至る場合もあります。また、歯ぎしりや食いしばりといった日常的な癖が蓄積されることで、目に見えないひび割れが進行し、ある日突然折れてしまうケースも少なくありません。
【生涯自分の歯で食べるために】
平均寿命が延びる中で、できるだけ長く自分の歯で食べられることは、生活の質を大きく左右します。
厚生労働省は8020運動として、80歳で20本以上の歯を残すことを目標に掲げていますが、これはご自身の努力次第で十分可能です。
歯の寿命は日々の行動に大きく左右されます。
年齢を重ねても健康な歯を保つためには、若い頃からのケアが大切です。
年齢に応じたメンテナンスを取り入れ、将来に備えましょう。