親知らずはすべての人に生えるわけではなく、生えてこない人や途中で止まってしまう人もいます。
なぜ人によって親知らずがないのか、またはないように見えるのか、その理由は一つではありません。
ここでは、親知らずがないと感じる理由や、生えてこない人の特徴について詳しく解説します。
目次
■親知らずとはどんな歯?
◎親知らずの位置と役割
親知らずは、前から数えて8番目にあたる奥歯で、正式には第三大臼歯と呼ばれます。
上下左右に1本ずつ、合計4本生えるのが一般的です。
多くの場合、18歳から20代前半にかけて生えてきますが、必ずしも全員が同じ時期に生えるわけではありません。
30代以降になってようやく生えてくる人もいれば、一生生えてこない人もいます。
◎親知らず、実は現代では役割が少ない歯
親知らずは昔の人にとっては硬い食べ物をすりつぶすために必要な歯でした。しかし、現代人は食生活の変化によって噛む回数が減り、十分に顎が発達せず小さくなっている傾向があります。そのため、必ずしも必要な歯ではなくなってきているのです。
むし歯などのトラブル回避のために抜歯をすることもあるため、親知らずがなくても問題ないとされるケースが多くなっています。
■親知らずがないと感じる理由
◎骨の中に埋まっている場合
実際に親知らずが存在していても、骨や歯肉の中に完全に埋まっていることがあります。これを埋伏智歯(ちし)と呼びます。
痛みや腫れがなければ気づかないことも多く、レントゲンやCTを撮って初めて存在が分かるケースも少なくありません。
◎途中で成長が止まっている場合
歯の形成が始まっても十分に大きくならず、成長が途中で止まってしまうケースがあります。
その場合、歯肉から顔を出さず半分だけ埋まった状態で留まることもあります。
半分だけ露出した親知らずは清掃しづらく、むし歯や炎症の原因になりやすいため注意が必要です。
◎もともと歯の芽が存在しない場合
親知らずが先天的に欠如しているケースもあります。
歯が生える前に歯胚(しはい)という芽が作られますが、この歯胚が形成されない場合は親知らず自体が存在しません。
日本人でも一定数の割合で親知らずが1本もない、あるいは1本だけ欠けている人がいます。この場合はレントゲンを撮影しても親知らずは写りません。
■親知らずが生えてこない人の特徴
◎顎が小さい
現代人は昔に比べて顎が小さくなっており、親知らずが生えるスペースが足りないことが多くなっています。
奥に十分なスペースがないと、親知らずは歯肉や骨の中に埋まったままで出てこないことがあります。
◎遺伝的な影響
親知らずの有無は遺伝的な要因も強いと考えられています。
親や兄弟姉妹に親知らずが欠如している人がいる場合、自分も親知らずが生えてこない可能性が高いといわれています。
◎生え方に個人差が大きい
同じ人でも左右や上下で親知らずの生え方が異なる場合があります。
片側にはしっかり生えているのに、反対側には全くない、あるいは上にはあるが下にはない、というケースも珍しくありません。
■親知らずがない場合のメリットとデメリット
◎メリット
親知らずが生えてこない場合、むし歯や歯肉炎といったトラブルが起きにくい点はメリットです。
特に斜めに生えている、一部だけ頭を出した親知らずは汚れが溜まりやすく、磨き残しから炎症を起こすこともあります。
その点親知らずがない人は余計なリスクを抱えずに済みます。
◎デメリット
一方で、親知らずは矯正治療や歯の移植に親知らずを利用することもあるため、全くないと治療の選択肢が減ることもあります。
ただし、親知らずを移植に使うケースは限られており、多くの人にとっては生えていなくても日常生活に大きな影響はありません。
■親知らずがないかどうかを確認する方法
◎歯科医院でのレントゲン検査
親知らずがないのか、それとも埋まっているのかを自分で判断するのは困難です。
歯科医院でレントゲンやCTを撮影すれば、歯胚の有無や埋伏しているかどうかを確認することができます。
◎気になる症状がある場合は早めに相談
歯肉の奥に腫れや痛み、違和感、噛んだ時の圧迫感がある場合は、埋まっている親知らずが悪さをしている可能性があります。
そのまま放置すると炎症が悪化することもあるため、気になる症状があれば早めに歯科医院でチェックを受けることが大切です。
【親知らずがないかどうかは歯科医院で確認を】
親知らずがないと感じるのは、実際には骨の中に埋まっている・成長が途中で止まっている・あるいは歯の芽自体が存在しないなど、さまざまな理由があります。
顎の小ささや遺伝的要因も大きく影響し、現代では親知らずが生えてこない人も増えています。
親知らずがないこと自体は問題ではありませんが、埋まっている場合にはトラブルの原因になることもあります。
気になる症状や不安がある方は、一度歯科医院でレントゲン検査を受けると安心です。