妊娠中は体の変化が多く、普段は気にならなかった症状が出てくることもあります。

そのひとつが親知らずの痛みです。

「妊娠中に親知らずがうずいてきた…」「腫れて痛いけど、薬も飲めないしどうしたらいいの？」と不安になる妊婦さんは少なくありません。

この記事では、妊娠中の親知らずの痛みの原因や対処法、抜歯は可能なのかについて詳しく解説します。

■妊娠中に親知らずが痛くなる原因とは？

◎ホルモンバランスの変化による歯肉の腫れ

妊娠中はエストロゲンやプロゲステロンといったホルモンの分泌量が増加します。

これにより歯肉の血流が増えて炎症が起きやすくなるため、親知らずのまわりの歯肉が腫れて痛みが出ることがあります。

特に、まっすぐ生えていない親知らずのまわりは汚れが溜まりやすく、炎症のリスクが高くなります。

◎つわりや体調不良でお口のケアが不十分に

妊娠初期はつわりがつらく、歯磨きがしづらくなる方も多いでしょう。

その結果、親知らずの周辺に汚れがたまり、智歯周囲炎（ちししゅういえん）を引き起こしやすくなります。

◎免疫力の低下

妊娠中は、赤ちゃんを守るために体が免疫のバランスを変化させます。

その影響で、細菌に対する抵抗力が弱くなることがあります。

特に親知らずのまわりに細菌がたまりやすくなり、炎症や腫れ、痛みが出やすくなります。

■妊娠中に親知らずが痛くなったらどうする？

◎まずは歯科医院で相談を

親知らずが痛くなったら、自己判断せずに歯科医院を受診しましょう。

妊娠中でも、安全に診察や応急処置を受けることが可能です。

産婦人科医と連携を取りながら治療を進めてもらいましょう。

◎妊娠中期（安定期）なら抜歯が可能な場合も

一般的に妊娠中に抜歯などの処置が必要になった場合は、妊娠中期（16週〜27週頃）が安全とされています。

この時期は胎盤が安定し、つわりも落ち着いていることが多いため、麻酔や処置のリスクが低くなります。ただし、緊急性がなければ産後に処置を延期することも選択肢です。

◎痛み止めや抗生物質は医師と相談の上で

自己判断で市販の痛み止めを服用するのは避けましょう。妊娠中でも安全に使える薬はありますが、胎児への影響を考慮する必要があります。歯科医師や産婦人科医の指示に従って、適切な薬を処方してもらいましょう。

■妊娠中の親知らずの抜歯は本当に大丈夫？

◎レントゲンや麻酔は使っても平気？

歯科で使用するレントゲンは腹部から離れており、防護エプロンを着用すれば胎児への影響はほとんどありません。

局所麻酔も、通常使われる量であれば妊娠中でも安全性が高いとされています。

胎児に影響しない薬剤を選んでもらえるため、過度に心配しすぎる必要はありません。

◎どうしても心配な場合は応急処置で乗り切る方法も

「抜歯には不安がある」「出産までできれば避けたい」という場合には、消毒や洗浄などの応急処置、妊娠中でも安全な抗生物質の服用などで痛みや腫れを一時的に抑えることも可能です。

出産後に落ち着いてから改めて抜歯を検討しましょう。

■出産後に抜歯するなら

◎授乳中でも対応可能な治療法を選べばOK

授乳中も、母乳に影響の少ない薬を選ぶことで治療は可能です。

出産後は赤ちゃんのお世話が忙しくなるので、産後早めに治療計画を立てると良いでしょう。

【妊娠中でも親知らずの痛みは我慢せず相談を】

妊娠中に親知らずが痛くなってしまっても、適切な時期と方法を選べば抜歯を含めた治療を行うことができます。

自己判断で痛みを我慢したり、市販薬で対処しようとせず、まずは歯科医院に相談することが大切です。

お母さんの体調と赤ちゃんの安全を第一に考えながら、無理のない方法で対処していきましょう。