口を開けるとカクッと音がする、顎がだるい、朝起きると顎や頬のあたりがこわばっているというような症状がある方は、顎関節症かもしれません。
顎関節症は、顎の関節や筋肉に負担がかかることで痛みや違和感を生じる病気です。
放置すると、口が開けにくくなる、食事がしづらい、肩こりや頭痛を伴うなど、生活に支障が出ることもあります。
2月に公開したブログでは顎関節症についての基本的な情報をご紹介していますので、あわせてご確認ください。
ここでは、顎関節症を悪化させないための予防法や、日常で避けたいやってはいけない癖について詳しく解説します。
目次
■顎関節症の主な症状
◎音がする
顎を開け閉めする際にカクッと音がするのは、関節の中にある軟骨(関節円板)がずれているサインかもしれません。
初期の段階では痛みを伴わないことも多いですが、放置すると顎関節の動きが悪化して、開閉がスムーズにできなくなることもあります。
ただし、この音がする方すべてが顎関節症というわけではありません。
この音はあくまで注意すべきサインと考えましょう。
◎口が開きにくい
顎関節症が進行すると、口を大きく開けようとしても途中で引っかかるような感覚が出ることがあります。人差し指、中指、薬指の3本が縦に入らない程度までしか開けられない場合は、顎関節症の可能性があります。
◎痛みや違和感
食事中や会話のときに顎が疲れたり、こめかみや耳の前あたりに痛みを感じたりするのも特徴です。痛みを我慢して使い続けると、筋肉のこわばりや慢性化につながることもあります。
■顎関節症を防ぐためにできること
◎正しい姿勢を保つ
顎関節症の原因の一つに姿勢の悪さがあります。
スマートフォンやパソコンの長時間使用で頭が前に出た姿勢を続けていると、顎関節に常に負担がかかります。背筋を伸ばし、耳と肩が一直線に並ぶように意識するだけでも、顎の筋肉の緊張を和らげることができます。
◎片側ばかりで噛まない
片側の歯ばかりで噛む癖は、顎の動きのバランスを崩し、関節や筋肉の左右差を生む原因にもなります。普段の食事では、両側の歯でバランスよく噛むよう心がけましょう。
また、噛み合わせが合っていない場合は、歯科医院で調整を受けることも予防につながります。
◎歯を食いしばらない
無意識に歯を強く噛み締めていませんか?
緊張や集中しているときに上下の歯を接触させ続ける癖(TCH:Tooth Contacting Habit)は、顎関節に大きな負担となります。
リラックスしているときは、上下の歯の間に1mm〜2mmの隙間を作る意識を持ちましょう。
◎睡眠環境を整える
就寝中の歯ぎしりや食いしばりも顎関節症の原因になります。
枕の高さや寝る姿勢を見直し、リラックスできる環境を整えることが大切です。
必要に応じて、歯科医院でナイトガードを作製し、顎関節への負担を減らすことも有効です。
◎頬杖をつかない
頬杖は顎の関節を一方向から圧迫し、歪みの原因になります。
つい癖でやってしまう方は、デスクワーク中の姿勢を見直しましょう。
◎大きなあくびや固いものにも注意
大きく口を開ける動作や、スルメ、フランスパンなど硬い食べ物を頻繁に噛むことは、関節や筋肉に過剰な負荷をかけます。顎に違和感がある場合は、無理に大きな動きをしないようにしましょう。
【小さな積み重ねで顎関節症の予防を】
顎関節症は、日常の小さな癖や姿勢の乱れが積み重なって起こることが多い病気です。
痛みが出てからでは改善に時間がかかることもあり、予防が何より大切です。
正しい姿勢、リラックスした顎の位置、両側での咀嚼など、今日からできることを意識してみましょう。
もし、顎の痛みや開けにくさが続く場合は、我慢せずに歯科医院や口腔外科を受診することをおすすめします。ちょっとした癖の改善や姿勢の見直しが、顎関節の健康を長く保つ大切な習慣につながります。