「インプラント治療は高い」と感じている方は多いのではないでしょうか。実際、1本あたり30万円以上かかることもあり、保険が適用される治療と比較すると費用の差は明らかです。
では、なぜインプラント治療はこのような金額なのでしょうか?
この記事では、インプラントの費用が高くなる理由を解説しつつ、それでも多くの方に選ばれている理由=コストパフォーマンスの高さについてもご紹介します。
目次
■インプラントの費用が高くなる理由
◎高額な素材・部品を使用している
インプラントに使われる人工歯根(インプラント体)や上部構造(人工歯)は、チタンやジルコニアなど生体親和性の高い素材でできています。
これらは人体との適合性が高く、長期間体内にあっても安全で腐食することが少ないという性質を持つため、医療用として優れた素材ですが、その分コストも高くなります。
さらに、インプラントはメーカーによっても価格が異なり、信頼性の高い国産や世界でシェアされている製品は特に高額になりやすい傾向があります。
◎手術には高度な技術が必要
インプラント治療は、歯肉を切開し、顎の骨に穴を開けて人工歯根を埋め込む外科手術を行います。
この手術には精密な技術が求められ、歯科医師は通常の診療とは別に、技術を磨き、実績を積んでいなければなりません。
また、手術の成功にはCT撮影やレントゲン撮影などを通して一人ひとりにあった治療計画が必要で、これらの設備投資や技術力が費用に反映されています。
◎滅菌・衛生管理にコストがかかる
インプラント治療を行う際には、外科的処置を安全に行うために高水準な衛生環境が求められます。
専用のオペ室やクリーンルーム、滅菌機器などを整える必要があり、これらの設備や管理コストも、治療費用の一部に含まれています。
◎治療期間が長く、通院回数も多い
インプラント治療は、カウンセリング、検査、手術、仮歯の装着、上部構造の製作と段階的に進められ、治療期間が3ヶ月〜6ヶ月以上、またそれ以上にも及ぶことがあります。
この間の診察・経過観察・調整などを含めると、歯科医院側にも多くの時間と人員が必要になります。
さらに、顎の骨の厚みや高さが不足している場合には、骨を増やすためのGBR(組織再生誘導法)やソケットプリザベーションなどの前処置が必要になることがあります。
これにより治療期間が延びるだけでなく、追加の手術や材料費もかかるため、費用が高くなる一因になります。
■それでもインプラント治療のメリットが多い理由
◎ブリッジや入れ歯と比べて寿命が長い
インプラントは、適切なメンテナンスを続けることで10年〜20年以上使い続けられることが多く、他の補綴治療と比べて長持ちします。
実際に、30年以上機能している症例も報告されています。
一方、ブリッジや入れ歯は素材の劣化や周囲の歯の変化により数年ごとの修理や作り替えが必要になることも珍しくありません。
そのたびに費用や手間がかかるため、初期費用こそ高く見えるインプラントも、長期的に見ると経済的メリットが大きい治療法といえるでしょう。
◎自分の歯のようにしっかり噛める
埋め入れたインプラントは顎の骨と結合し、天然歯に近い感覚でしっかり噛むことができるのが最大の特徴です。
入れ歯のようにずれたり外れたりする心配がなく、硬いものや粘着性のある食品でも快適に食事が楽しめます。
しっかり噛めることで、消化吸収の助けになるだけでなく、食べる楽しさや会話のしやすさといった生活の質も向上します。
歯を失ったことで食事や会話にストレスを感じていた方にとって、インプラントは高い満足度を得られる治療法です。
【費用だけで判断せず、納得できる治療を】
インプラントの費用は確かに高額ですが、長持ちし、見た目や噛む機能を天然歯に近い段階まで回復できる治療法だと考えると、納得できる治療法かもしれません。
まずは信頼できる歯科医院で、事前に十分な説明と見積もりを受け、自分のライフスタイルや希望に合った選択をしていきましょう。